ジャワ島中部地震に思う
平成18年7月 加 藤 利 雄
今期の親睦旅行で泊まった御前崎グランドホテルで、5月28日の朝、前日の朝にジャワ島中部を襲った地震のニュースを聞いて驚いた。ジョグジャカルタ周辺で数千人規模の犠牲者が出て、なお被害は拡大中であるという。5年前にこの地を訪れて、ジョグジャカルタのホテルに泊まり、当日と翌日の2日間、スラバヤ・メトロポリタンRC(S.M.RC)の方々に案内された世界遺産のボロブドウール寺院群、ブランバナン寺院群から強烈な感銘を受けたことが思い出される。
2001年3月に当クラブは創立10周年を迎えるに当たり記念事業として何を行うか検討していた。たまたま、前年の1999年に第2580地区の世界社会奉仕活動(WCS)として第3400地区(インドネシア地区)RCとの共同で「学校を救おう」プロジェクトが計画され、マドウラ・バンカラン小学校の改修事業を行い、当クラブも参画した。2000年2月には竣工式と現地の子供たちとの交流会が行われ、当クラブから瀬川氏と私が参加した。その際にホストクラブであるS.M.RC会長のThomas Aquinas氏(当該クラブ会長は2年任期)と知り合い、次年度にこのような計画の有無を確認したところ検討しているところが1箇所あるという。計画が煮詰まり次第連絡をくれることをお願いして帰国した。会長エレクトであった私は被選理事会にこの件を報告、提案し、当クラブの創立10周年記念事業としてインドネシア、S.M.RCと共同で学校を改修するという世界社会奉仕事業を実施することを基本的な了承を得た。7月の第1回理事会で、総工事費1億2千万ルピアの内当クラブで1億1千万ルピアを負担し、東部ジャバのマラン県にあるセント・アントニウス中学校の3教室を建て替えることを正式に決定し、クラブ基金から140万円を取り崩した。この円をルピアに交換、ジャカルタに定期預金口座を開設し送金、以後工事の進捗に合わせその口座から3回に分けS.M.RCの口座に振込みを行った。当時インドネシアの定期預金口座の利息は8%であったので結構な利息がついたのである。このような実務を教わり実行のお手伝いをして頂いたのは、江戸川RCの会員が社長を務める会社の社員で、インドネシアに長く滞在の経験があり「学校を救おう」プロジェクトでもお世話になった杉田 祐氏で、この方なしではこの事業の成功は難しかったといえる。Thomas会長との連絡はほとんどが英語によるメールで、述べ40回以上の情報交換を行った。私は英語が苦手なためメールの日本語原稿を社内の国際部に送り英訳してもらいMr. Thomasに送信することができた。竣工式には日本から北分区ガバナー補佐小嶋氏、当クラブから加藤、辻、新里、松田の4名それに新里氏の友人でカメラマンの中村氏と前記杉田夫妻がボランティアで参加していただいた。また、第2850地区内の多くの他クラブから協賛金約40万円を戴き、これらを基にして歴史、科学、伝記等の図書700冊をロータリー文庫として当該中学校に寄贈した。竣工式の様子は報告書、ビデオが事務局にあるので興味のある方はご覧いただきたい。3月の当クラブ創立10周年記念例会にS.M.RCのメンバーをご招待し5名の参加を得た。都内バスツアー、東京デズニーランド、箱根、伊東温泉、湯河原梅園、東京ドーム、日光等への観光、会員宅へのホームステー、持参した多くのインドネシア土産品のチャリティー販売、お別れパーティーなど数多くの思い出を残した交流でした。
その後、S.M.RCと我がクラブとの交流がないまま、また私自身も会社を退職して自動英訳機がなくなったこともあってMr. Thomasとのメール交換もしばらく途絶えていたが、彼のメールアドレスだけは自宅のパソコンに転送しておいた。一昨年のスマトラ沖地震の時には震源から大分離れていることを理由にお見舞いのメールをしなかったのが心のどこかに引かっていた矢先の今回のニュースである。旅行から帰って早速購入した翻訳ソフトを使い、長期間の音信不通のお詫び、地震のお見舞いと震源から200km程度離れているセント・アントニウス中学校の様子を尋ねた。2日ほどして彼から返事があり、中学校は無事であることインドネシアのロータリアンや多くの人が災害の救援にあたっていることクラブや地区の皆さんによろしくということであった。 近いうちに第2580地区のガバナーからRIを通じての義捐金の要請が来て、会員がこれに応じることになるだろう。しかし、それはそれとして、私は、これを機会にクラブ単独の国際社会奉仕活動として、わずかな金額でよいから継続的に支援する事業を立ち上げ、両クラブの関係をさらに深めることが大切ではないかと痛感した次第である。
そこで、須山会長、相本次期会長にこのことを進言し、理事会、被選理事会で検討していただいた結果、地震災害の見舞金として当クラブから10万円相当額を送ることが了承された。早速Mr. Thomasにこの旨のメールを発信し、彼からは第3400地区全体の義捐金受け入れ口座が開設されているのでこれに送金したらどうかと提言を受けた。平成18年7月27日に10万円をRPに交換して、700万RPを指定された口座に送金した。